API開発とは?そのプロセスと主要な用途

デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、散在するソフトウェアシステムを統合されたエコシステムへとつなぐことは、あらゆる企業にとっての最優先事項となっています。Grabでの配車、MoMoによる決済、あるいはGoogleアカウントでのアプリログインといったスムーズな体験の裏側には、すべてAPI開発の成果があります。本記事では、APIに関する専門的かつ包括的な視点を提供し、基礎概念から業界の現実的な課題までを網羅して解説します。

API開発とは?

API開発(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、異なるソフトウェア同士が相互にやり取りするためのルール、プロトコル、およびツールの構築と導入のプロセスを指します。簡単に言えば、APIは「本来は言葉が通じない2つのシステム間の通訳者」のような役割を果たします。ユーザーがアプリで機能をリクエストすると、APIがその命令を受け取り、サーバーに送って処理させ、その結果をユーザーに返します。

API開発とは?
API開発とは?

API開発は単にソースコードを書くだけでなく、アーキテクチャ設計、ライフサイクル管理、データの整合性確保なども含まれます。これにより、開発者は他のサービスが内部でどのように構築されているかを詳しく知らなくても、既存のリソースを活用してアプリの機能を拡張できるようになります。

APIの活用事例

APIの重要性は、デジタルライフのあらゆる場面に現れています。APIのおかげで、企業は多機能な統合サービスを構築し、ユーザーに最大限の利便性を提供できます。例えば、ECサイトは銀行のAPIを利用して決済処理を行い、ニュースサイトはSNSのAPIを利用して最新の投稿を表示しています。

さらに、APIはシェアリングエコノミーやモノのインターネット(IoT)の基盤でもあります。スマートウォッチ、冷蔵庫、自動車などのスマートデバイスはすべて、管理センターにデータを送信し、ユーザーからのコマンドを受信するためにAPIを必要とします。APIがなければ、インターネットの世界は孤立した断片的な「データの島」になってしまうと言っても過言ではありません。

Web APIとは?

Web APIはAPIの具体的な形態の一つであり、HTTPプロトコルを通じてウェブプラットフォーム上に実装されたものです。PCのブラウザからモバイルアプリまで、インターネットに接続されたあらゆるデバイスと高い互換性を持つため、現在最も普及している形式です。Web API開発により、サーバーはクライアントに対してデータを(通常はJSONまたはXML形式で)迅速かつ安全に提供することが可能になります。

Web APIとは?
Web APIとは?

Web APIとシステムAPIの最大の違いは、プログラミング言語に依存しない(言語非依存)という点です。Javaで書かれたWeb APIは、JavaScriptで書かれたフロントエンドアプリやSwiftで書かれたモバイルアプリにも簡単に対応でき、ソフトウェア開発に絶対的な柔軟性をもたらします。

APIプロトコル 

API開発の過程において、転送プロトコルの選択は、システム間の「公式な通信言語」を選ぶようなものです。各プロトコルは、構造、速度、セキュリティレベルにおいて独自の特性を持っています。最適なシステムを構築するために、開発者は以下の主要な選択肢を理解しておく必要があります。

APIプロトコル
APIプロトコル

SOAP (Simple Object Access Protocol) 

SOAPは、XMLベースの標準化されたプロトコルであり、非常に厳格なルールに基づいています。高いセキュリティと強力なトランザクション性を備えていることで知られています。現代的なプロトコルに比べてレイテンシ(遅延)が高く、構造が複雑であるという側面はありますが、データの整合性が不可欠な銀行システムや大規模なエンタープライズシステムで優先的に採用されています。

RPC (Remote Procedure Call) 

RPC(遠隔手続き呼出し)は、コンピュータプログラムが別のコンピュータ(サーバー)上のプログラムを、あたかも自らのコンピュータ上で実行しているかのように呼び出すためのプロトコルです。XML-RPCは関数の呼び出しにXMLを使用しますが、最近ではGoogleが開発したgRPCというより現代的な派生形が、マイクロサービスアーキテクチャにおける圧倒的な処理速度を背景に普及しています。

REST (Representational State Transfer) 

RESTは厳密にはプロトコルではなく、HTTPメソッド(GET, POST, PUT, DELETE)に基づいた「アーキテクチャスタイル」です。API開発において、RESTはその軽量さ、拡張性の高さ、そして多様なデータフォーマットに対応できる柔軟性から、最も有力な選択肢となっています。現在、ほとんどのWebアプリやモバイルアプリはこのRESTfulなアーキテクチャに基づいて構築されています。

OData (Open Data Protocol) 

ODataは、強力なデータクエリ機能を備えたRESTful APIを作成・利用するためのオープン標準です。いわば「WebのためのSQL」のような存在であり、開発者がクエリごとの個別コードを書かなくても、ユーザーがURLを通じて直接データのフィルタリング、並べ替え、特定の属性取得などを行うことができます。

APIの種類 

利用目的やアクセス対象に応じて、API開発は管理権限とセキュリティを最適化するために明確に分類されます。適切なAPIタイプを選択することは、企業がビジネスモデルやデータ共有戦略を策定する上で重要な鍵となります。

APIの種類
APIの種類

パートナーAPI (Partner API) 

これは特定の戦略的パートナー向けに設計されたAPIです。一般には公開されておらず、専用に発行されたAPIキーなどを通じて特別なアクセス権限を必要とします。パートナーAPIは、信頼できるサードパーティを自社システムに深く統合させることでエコシステムを拡大し、双方に付加価値をもたらします。

パブリックAPI (Public API) 

パブリックAPI(またはオープンAPI)は、すべての開発者が利用可能なAPIです。その目的は、イノベーションを促進し、基盤となるプラットフォームを中心にアプリケーションコミュニティを構築することにあります。例えば、Google Maps APIは数百万のウェブサイトに地図を埋め込むことを可能にし、位置情報データにおけるGoogleのリーダーシップを揺るぎないものにしています。

プライベートAPI (Private API) 

プライベートAPI(内部API)は、組織内でのみ使用されます。企業内の異なる部門間を接続する架け橋として機能し、人事、経理、営業などの間でのスムーズなデータ連携を実現します。このタイプのAPIは外部からのリクエストに対応する必要がないため、パフォーマンスと効率性に特化しています。

コンポジットAPI (Composite API) 

コンポジットAPIは、複数のAPIリクエストを1回の呼び出しに統合(バッチ処理)することを可能にします。これは、ユーザーの1つのアクション(例:注文)に対して、在庫、決済、配送の各APIを同時に呼び出す必要がある複雑なシステムにおいて特に有用であり、ネットワーク負荷の軽減とレスポンスの高速化に寄与します。

Web APIの主な特徴 

なぜWeb APIは現代のインターネットの「背骨(バックボーン)」となったのでしょうか?それがもたらすメリットは、単なるデータの伝送にとどまりません。API開発を正しく行うことで、企業は運用面とユーザー体験の両方において膨大な価値を享受できます。

  • 製品の自動化 APIは、システム間での手動によるデータ入力を完全に排除します。ソースサーバーで変更が発生すると、APIが連携先のアプリケーションへ自動的にデータをプッシュするため、ワークフローがスムーズになり、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。
  • 柔軟な統合(インテグレーション) APIの最大の強みは、その「組み換え自由な」拡張性にあります。企業はさまざまなサービスAPIと接続することで、機能を簡単に追加または削除できます。これにより、スタートアップ企業でも既存のモジュールを活用し、短期間で複雑なアプリケーションを構築することが可能になります。
  • リアルタイム更新 情報の時代において、スピードは最大の価値です。Web APIはリアルタイム(Real-time)でのデータ同期を可能にします。株価の変動や配車サービスの車両位置など、ユーザーは常に発生した瞬間の最新情報を受け取ることができます。
  • 共通標準による使いやすさ Web APIは国際的な標準規格に従っているため、学習と導入が非常に容易です。標準化されたドキュメント(Documentation)と使い慣れたHTTPメソッドのおかげで、ベトナムのエンジニアであっても、アメリカで開発されたAPIを迷いなく利用することができます。

API開発プロセス

プロフェッショナルなAPI開発プロセスでは、品質を担保するために通常以下の6つの厳格なフェーズを経ます。

API開発プロセス
API開発プロセス
  1. 要件分析: 目的、共有すべきデータ、およびターゲットユーザーを特定します。
  2. アーキテクチャ設計: プロトコル(REST、SOAP)の選択、エンドポイントの定義、およびレスポンスデータの構造を決定します。
  3. 構築(コーディング): ソースコードの記述、処理ロジックの実装、データベース接続を行います。
  4. テスト: Postmanなどのツールを使用し、データの正確性や負荷耐性を検証します。
  5. ドキュメント化: 他の開発者がAPIの呼び出し方法を理解できるよう、詳細なガイドを作成します。
  6. 保守とモニタリング: 実際のパフォーマンスを監視し、新しいバージョンへのアップデート(バージョニング)を行います。

Web APIの仕組み

Web APIの動作は、リクエスト・レスポンス(Request-Response)モデルに従います。

  • ステップ1 – リクエスト(要求): アプリ上で操作(「検索」ボタンのクリックなど)を行うと、アプリからサーバーへリクエストが送信されます。これにはURL、アクション(データの取得や送信)、および付随する情報が含まれます。
  • ステップ2 – サーバー側での処理: サーバーはリクエストを受け取ると、その妥当性を検証し、データベースにアクセスして情報の取得や保存を行います。
  • ステップ3 – レスポンス(応答): サーバーはアプリに結果を返します。この結果には必ず「ステータスコード」(例:200は成功、404はデータ未検出)が含まれます。
  • ステップ4 – 表示: アプリはサーバーからのデータを受け取り、スマホやPCの画面上に最終的な結果を表示します。

Web APIのメリットとデメリット

多くの利点がある一方で、API開発には一定の障壁やリスクも存在します。これら両面を理解することは、プロジェクトマネージャーがより安全で効果的な導入戦略を立てるのに役立ちます。

Web APIのメリットとデメリット
Web APIのメリットとデメリット

メリット

Web APIは非常に軽量で導入が容易であり、優れた拡張性を備えています。マイクロサービス(Microservices)アーキテクチャをサポートしているため、開発チームはシステムの異なる部分を独立して開発できます。また、サードパーティのクラウドサービスの計算能力を活用することで、インフラコストを削減することも可能です。

デメリット

最大の欠点は「依存性」です。サードパーティのAPIに障害が発生すると、自社のアプリも影響を受けます。さらに、複数のAPIバージョンの管理(バージョニング)やサイバー攻撃に対するセキュリティ対策には、高度な専門知識を持つ人材が必要となります。

APIの利用方法

APIを効果的に利用するために、開発者は以下のステップを踏む必要があります。まずドキュメント(仕様書)を読み解き、アカウントを登録してセキュリティキー(APIキーまたはトークン)を取得します。そして最後に、プログラミングツールを用いてAPIコールを実行します。また、ネットワーク障害時にアプリケーションがフリーズ(「固まる」状態)しないよう、API利用時におけるエラーハンドリング(Error Handling)を適切に行うことも非常に重要です。

APIセキュリティ

API開発において、セキュリティは単なる追加機能ではなく、システムの「核心」です。APIは企業のデータへと続く扉を開くものであるため、HTTPS暗号化、多要素認証(MFA)、リクエスト数制限(レートリミット)、およびAPIゲートウェイの活用といった対策は必須となります。APIにおけるわずかなセキュリティ上の欠陥が、数百万人のユーザーのデータ流出につながる恐れがあるからです。

API開発における課題

現在、最大の課題は「機能性」と「セキュリティ」の両立にあります。加えて、ユーザー数が急増した際に安定したパフォーマンスを維持することも困難な課題の一つです。また、開発者は、分かりやすくかつ網羅的なAPIドキュメントの作成や、古いバージョンのAPIを利用しているアプリを壊さないための変更管理(バージョニング管理)にも直面しています。

API開発は、技術と芸術が融合したプロセスです。卓越したプログラミングスキルだけでなく、データとシステムに対する戦略的なビジョンが求められます。本記事が、皆様のAPIプロジェクトを効果的に開始するための深い洞察となれば幸いです。